私たちの身の回りには化学物質があふれており、その研究が進んだおかげで伝染病から人命が救われたり、治療薬が開発されたり、生活の様々なところで便利さ快適さをもたらせています。
一方でその化学物質が環境や人の健康などに悪い影響を引き起こすというのも事実です。そのため有用性に支えられていることを軽視し有害性ばかり注視し、化学物質イコール危険であるという概念を強く持つ傾向があります。
安全か危険かは物質ごとに定義できるものではなく、曝露量や摂取量や時間、その人の体質なども関係しています。
暴露経路
化学物質が体内に取り入れられる経路は経口、経皮、吸入の3つに大別されます。
成人が一日に食べる量はおよそ1~2㎏、水分は多くて2~3㎏、それに対して空気は重量に換算すると12~30㎏の量になります。空気はこのように大量に体内に取り入れられるため微量の空気汚染でも健康に悪影響を及ぼします。
蓄積と排出
人間の体は体内に侵入する多くの化学物質を化学的に処理したり、体外に排泄しようとする能力を持っています。
しかし、現代社会で普通に生活していると化学物質は「出る量」よりも「入る量」の方が多くなりがちで、体内に蓄積され続けます。人により体内に蓄積できる許容量は違いがあり、その量を超えてしまうと体が拒絶しようとして様々な症状を引き起こします。
多くの化学物質はどこに蓄積されるかというと体内の脂肪組織です。。その脂肪組織は皮下脂肪、内臓、脳、筋肉、神経組織にもあります。
解毒、排泄
皮膚、肺、小腸、腎臓などの細胞には化学物質を代謝する能力がある細胞があります。
脂肪組織に蓄積された化学物質は肝臓まで運ばれ、そこで解毒、分解されます。
そしてその分解物は尿、便として排泄され
また皮膚からは汗として
ガスや揮発性物質は肺から呼気とともに体外に出ます。
運動や入浴などによって血流を増加し代謝や解毒作用を盛んにすることが良いとされます。
シックハウス症候群の患者さんは、汗が出にくいことがよくあります。自律神経の失調は行動意欲を低下させ体を動かすことが減り、代謝や分解能力も低下しさらに化学物質が取り込まれやすく症状が悪化するという悪循環に陥りやすいのです。